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皆さんこんにちは!
フランス在住イラストレーターのmikinekoです😄
皆さんは日本の、いや、この世界の理不尽さを感じたことはありますか?
今日は日本の福祉の闇に切り込んだ
映画化もされた小説
『護られなかった者たちへ』のレビューです。
闇は・・深い・・・
『護られなかった者たちへ』あらすじ・内容
東日本大震災が起こってから数年後の仙台市で全身を縛られたまま餓死させられるという
残忍な連続殺人事件が起こった。
被害者は皆、清廉潔白な人格者。
善人と呼ばれる被害者たちがどうして殺されてしまったのか?
捜査を進めていくうちに明らかになる福祉の闇。
そして護られなかった者たちの悲惨な末路。
犯人に思わず共感してしまう、胸をえぐるような秘密とは。
護られなかった者、
護ろうとした者、
護る気がなかった者。
それぞれの最後はどうなってしまうのか・・・
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ここからは、なるべく核心にはふれませんが
ネタバレも含まれるのでご注意を!
第一の事件:善人、三雲忠勝の死
仙台市の今は使われていないアパートの一室で、
四肢をガムテープで拘束され、口も塞がれた状態の死体が発見された。
死因は餓死。
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餓死って・・・
殺害方法がえげつない。
時間をかけてじんわりと殺される恐怖・・考えるだけで怖い。
被害者は仙台市青葉区の福祉保健事務所で働く三雲忠勝と判明。
担当となった宮城県警の苫篠と蓮田は聞き込みを開始。
しかし、誰に聞いても三雲に恨みを持つような者は現れず、
誰もが口を揃えて彼のことを『善人』と評する。
何一つ手がかりを見つけられないまま第二の事件が起こる。
第二の事件:人格者、城之内猛留の死
次に殺害されたのは県議会議員の城之内猛留。
彼も三雲と同じように、体を拘束されていて、死因は餓死。
また、三雲と同じようにいくら聞き込みをしても
皆から出てくる言葉は『人格者』であることのみ。
容疑者すら上がってこない捜査に、
県議会からの圧力も強まります。
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ここまで周りから『善人』『人格者』と言われた人達が
どうしてこんな殺され方をしなければいけなかったんだろう??
犯人はもしかして、怨恨ではなくシリアルキラー的な??
苫篠と蓮田の必死の捜査で
三雲と城之内の共通点を見つけることができました!
それは2人がかつて塩釜福祉保健事務所で働いていたこと。
2人は生活保護の部署を担当しており、
もしかすると、犯人は生活保護を打ち切られた
もしくは受けることが出来なかった人の中にいるのでは?
と思い当たります。
生活保護の闇: 貧者の死
苫篠たちは捜査のために青葉区福祉保健事務所で働く円山について
生活保護の現状を目の当たりにします。
生活保護を受給したい人は増えているのに
財源には限りがある。
中には生活保護を必要としないのにお金稼ぎのために受給する人たちやヤクザも。
本当に必要な人に行き届かせたいのに、
人材不足や財源不足で難しい現実。
護られるべき人たちが蹴落とされていくシステムに憤りを感じる苫篠と蓮田。
そんな中捜査線上に上がった3名の人物を訪ねる。
彼らは以前、生活保護を申請するも冷たくあしらわれ
トラブルを起こした人達だった。
彼らの話を聞いていくうちに、三雲の『善人』ではない一面が見えてきた。
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違う視点から見ると、全然『善人』じゃなかった!!
三雲は、生活に困っている人達を冷たくあしらっていたのだ。
複雑な申請書の書き方をきちんと説明せずに、
「見本を見てください」としか言わず、
申請者が必死に書いた書類を確かめもせずに受け取り、
不備があったと却下。
書き直そうとする申請者に、一度書類不備で却下されたものは再申請できませんと冷たく告げる。
事前にそんな説明もしていなかったし、書くときに散々書き方のアドバイスを求めたのに・・・
まるで、申請させないようにする罠のような対応をする三雲たちだった。
さらに捜査を進めるうちに
ある男が浮かび上がってきた。
誰よりも護りたかった: 家族の死
捜査線上に上がったのは
利根勝久。
彼は以前傷害事件と放火の罪を犯し、8年ぶりに出所したばかりだった。
彼もまた生活保護の闇により大切な人を失った被害者の1人。
荒れていた彼の日々を助けてくれた老女、遠島けいと少年のカンちゃん。
3人は本物の家族のように過ごしますが、
あることのせいで、けいは亡くなってしまいます。
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どうしてけいが亡くなってしまったのか、
3人の日々はどんな毎日だったのか、
詳細は書きません。ぜひご自身で読んでみてください!
胸がえぐられます・・・
刑務所の中で模範囚になり10年の刑期を8年で出所した利根はある決意を胸にしていた。
8年間も抱き続けていたその決意とは?
護られなかった者、護りたい者、護る気がなかった者
それぞれの結末をぜひ見届けて下さい。
『護られなかった者たちへ』感想、まとめ
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久々に読んだ、社会派クライムサスペンス。
めちゃくちゃ考えさせられました!
実は、社会派、とかクライムサスペンスとかのジャンルを読むのが苦手です。
唯一読むのは東野圭吾の作品くらい。
Kindle Unlimitedで読めるようになってたので、ただなんとなく読み始めただけでした。
文章が読みやすいこともそうですが、
話の展開が巧みで、どんどん引き込まれて止まらなくなってました。
誰が悪者なのか。
もちろんどんなことも殺人を起こしていい理由にはなりません。
でも、じゃあシステムによって殺された人は?
間接的にでもその人の死を後押ししてしまった人は?
罪には問われないけど、悪じゃないと言い切れるでしょうか?
生活保護に関しても、声が大きい人だけ、
システムに対応出来る人だけが受け取れるシステムには疑問が残ります。
かなり前にもたくさん稼いでいる芸能人の母が生活保護を受けていたニュースが話題になったり、
一生懸命働いている人よりも生活保護費などで生活しているシングルマザーの方が多くお金をもらっていたり、
生活保護費をパチンコやお酒につぎ込んだり、
そんな理不尽なことばかりが話題になりますが
本当に切羽詰まった、
どうしても立ち行かない、
それでも「国のお世話になるのは申し訳ない」と言う
声小さき者たち、護られるべき人たちが正当な生活保護を受けられるように願って止まないです。
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一つ思い出したことがあった!
良かったらついでに聞いてください!
以前、医療事務として病院の受付で働いていた時のこと、
生活保護を受けているおばあさんが毎日病院に来ていました。
彼女は病院費用もタダ。薬代も全て税金でまかなわれます。
このおばあさんは病気ではないんですよ。
することがないので世間話をしに毎日病院を受診してたんです。
タダだから。
数日顔を見せなかったおばあさんが久しぶりに病院に来て言ったこと。
「体調崩しちゃってね、病院に来れなかったけど元気になったから来たの♪」
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ちょっとーーーーー!!逆だよ!!
生活保護をもらって無駄な医療費を税金で払わせているおばあさんが大嫌いでした・・
しかも、嬉しそうにお孫さんの話とかをしていて、
なんで家族がいるのに生活保護受けてるの?
旅行とか行った話もしてて、
マジで国は何をしてるの??と思った事があるので、
この本を読んでさらに胸が痛くなりました。
こういうおばあさんみたいな人がしっかり審査されたら
必要な人にもっと届くんでしょうね・・・